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自慢のバッグレザーを使った
靴作りへの挑戦

グッドイヤーウェルト製法のペニーローファー

エルゴポックはこれまでずっと、バッグに用いるレザーの質にこだわってきました。その象徴がブランド設立以来使い続けているオリジナル素材、ワキシングレザーです。しっとりとしているのに軽く、独特のムラ感と豊かな発色を備えたこの素材を、エルゴポックではブランドの顔としてさまざまなバッグに用いています。そんなワキシングレザーの可能性をさらに広げたい…その思いからこの春、店舗限定で新たに「靴」の展開をスタートさせます。

バッグと靴は男の持ち物を代表する2大レザー製品。それゆえ紳士は昔からそこにこだわり、両者の色味を揃えるといった作法を嗜みとしてきました。しかし、全く同じ素材でつくられたバッグと靴は実際にはほとんどありません。だからこそ、エルゴポックは挑戦したいと思いました。ただし、つくるからにはこれまでバッグに注いできた情熱と同じ熱量をもった靴でなければならない。さらにエルゴポックのバッグ同様、日本のものづくりの価値を体現するものにしたい。そこで私たちは、日本の靴づくりにおける第一人者に協力を依頼。彼のディレクションのもと、日本屈指の技術力を誇るファクトリーでワキシングレザーによる靴の製作を開始しました。

今回このコンテンツでは、そんなエルゴポック初の靴づくりの模様を詳細な製作手順に沿ってお届けします。この靴がエルゴポックにとって単なるバリエーションのひとつではなく、妥協のない挑戦であることを確かめてください。

雪国が誇る日本屈指の靴工場

東北地方秋田県の靴工場

エルゴポック初の靴づくりが行われるのは、秋田県飯詰にある靴工場。いまだ深い雪に閉ざされた2月初旬、春夏シーズンに向けその第一歩が踏み出されました。

1.日本屈指の靴工場

靴工場の内部

1980年代に当時世界最高峰だったフランスの靴工場の指導を受け設計されたこの工場は、裁断から縫製まですべての工程を行うことのできる日本でも数少ないファクトリー。北国の腕利き職人たちが集い、国内外の有名ブランドの製品を数多く手がけるこの工場で、エルゴポックのシューズはつくられています。

2.パーツが届く

靴のレザーパーツ

型紙に合わせて靴のパーツを裁断します。革には繊維の方向があり、縦方向には伸びず横には伸びます。そのため一枚の革の中からパーツをどう取るかが非常に重要。ここからすでにプロフェッショナルの靴づくりが始まっているのです。

3.縫製の下準備

  • 革鋤き作業
  • 革の縫製準備

パーツ同士を綺麗に縫い合わせられるように縁の部分を鋤きます。今回手掛けるローファーの顔ともいうべきUチップの美しさに直結する大切な工程です。また、手縫いを施すパーツにはあらかじめ縫い穴を開けておきます。こうした作業もすべて職人の手作業。

4.アッパーのパーツをまとめる

靴のアッパーの縫製

アッパーのパーツをミシンで縫製。無表情だったパーツたちが徐々に靴の趣を帯びていきます。

5.アッパーの手縫い

靴の手縫い作業

エルゴポックのローファーは、サドル部分を手間のかかる手縫いで仕上げています。熟練の職人が1針1針縫い上げることで生まれる立体的な造形美が、このシューズに高級感と味わい深い表情を与えます。

6.ヒールカウンターを付ける

  • 靴のヒールカウンターの取り付け
  • 靴のヒールカウンターの取り付け

靴の履き心地を左右する大事なパーツであるカウンターをヒール部分に取り付けます。エルゴポックのシューズは長くて硬いレザー製のロングカウンターを使用。土踏まずまで伸びるこのカウンターが履く人の体重を支え、ホールド感の高い履き心地を実現します。良い靴には目に見えない部分にも惜しみない手間と贅沢な仕様が注がれているのです。

7.先芯を入れる

靴の先芯の取り付け

つま先にもしっかりと硬い芯を装着します。これも外からは見えない部分ですが、型くずれを防ぐための重要なパーツ。1年履けばその真価がわかります。

8.ライニングを張る

靴の内張ライニングの取り付け

靴の内側全面に肌触りの良い上質な馬革のライニングを装着します。素足で履くことも多いローファーの特性を考慮した贅沢な仕様です。

9.インソールを木型にセット

靴の製造工程での木型セット

木型に釘でインソールをセットします。製品となった靴のインソールに小さな穴が見えるのは、この時打った釘の跡。つまり、しっかりと手作業でつくられた上質な靴の証なのです。

10.吊り込みの準備

靴の製造工程での吊り込み準備

木型への吊り込みを行う前に、力のかかるトゥ部分に焼酎を塗り込みます。これは吊り込みの際に革の表面が割れるのを防ぐ、この工場ならではの秘伝の技。焼酎は銘柄も決まっており、他の焼酎や日本酒では同様の効果が得られないとのこと。まさにプロフェッショナルの経験が生んだ隠し味です。

11.吊り込み-1

靴の製造工程での機械による吊り込み

アッパーを木型にセットしたら、機械で力をかけてぴったりと木型に添わせます。見ていると簡単そうですが、力のかけ具合などに繊細な感覚が求められる作業。

12.吊り込み-2

  • 靴の製造工程での手作業による吊り込み
  • 靴の製造での釘打ち

木型に嵌ったアッパーをさらに“ワニ”と呼ばれる道具で引っ張り、素早く釘を打ってインソールと木型に固定します。片足の中でのバランス、さらには左右の足を均等に吊り込むこの作業には、熟練の技術が不可欠。まさに靴職人の腕の見せ所たる工程です。

13.リブとアッパーの仮止め

  • 靴の製造工程での仮止め
  • 靴の製造工程での仮止め

あらかじめインソールの縁に付けられていたリブとアッパーをステイプルで仮止めします。

14.釘を抜き余分な革を切る

  • グッドイヤーウェルト製法のウェルト装着準備
  • グッドイヤーウェルト製法のウェルト装着準備

アッパーとインソールが仮止めされたら、先ほど打った釘を抜き、余分な革をノミで切り取ります。これでグッドイヤーウェルト製法特有のリブにウェルトを装着する準備が整いました。

15.ウェルトの装着

  • グッドイヤーウェルト製法におけるすくい縫い
  • グッドイヤーウェルト製法におけるすくい縫い

アッパーに細かなキズや汚れがつかないようビニール製の保護シートを被せた後、インソールのリブと革製のウェルトをすくい縫いで縫合します

16.余分なものを削ぎ落とす

  • グッドイヤーウェルト製法の工程
  • グッドイヤーウェルト製法の工程

ウェルトを装着したら底面の余分な革などをグラインダーで削り、きれいに整えます

17.シャンクを入れる

グッドイヤーウェルト製法におけるシャンク

インソールの踵から土踏まずにかかるこの部分に、靴の背骨ともいうべき鉄製のシャンクを入れます。先ほどご紹介したヒールのロングカウンターとこのシャンクによって、靴の後ろ側をカチッと固めることで、ホールド感の高い極上の履き心地が生まれるのです

18.コルクを敷き詰める

グッドイヤーウェルト製法におけるコルクの敷き詰め

正統なグッドイヤーウェルト製法の靴は、インソールとアウトソールの間にコルクが敷き詰められています。これにより履き込むほどにコルクが沈み、履く人の足型を記憶する“フットプリント”が生まれます。足にぴったりとフィットする履き心地はこうして得られるのです。

19.アウトソールを圧着

グッドイヤーウェルト製法のアウトソール仮止め

レザーのアウトソールを縫い合わせる前に、まずは圧着によって仮止めを行います。

20.サイドを整える

  • グッドイヤーウェルト製法におけるエッジ処理
  • グッドイヤーウェルト製法におけるエッジ処理

圧着されたアウトソールの余分な部分を切り取り、さらにグラインダーで削りサイド面を整えます。

21.アウトソールの縫い付け

グッドイヤーウェルト製法におけるアウトソール縫い

ミシンを使いウェルトとアウトソールを縫い合わせます。ウェルトを取り付けてからアウトソールを装着するまでに、これだけ多くの手間を要するのが正統なグッドイヤーウェルト製法のシューズなのです。

22.ラグソールの貼り付け

靴の製造ダブルソール

今回のエルゴポックのローファーは、レザーソールの下にもう一枚、ヒール一体型のラバーソールを備えたダブルソール仕様。グリップ力と軽量性に優れたヴィブラム社製のライトウエイトラグソールをレザーのアウトソールに接着剤で装着します。

23.サイド面を整える

  • 靴の製造エッジ処理
  • 靴の製造エッジ処理

ラグソールを装着後、再びグラインダーでサイド面を整えます。ウェルトやレザーソールを極力削らぬよう慎重に、なおかつ素早く均一にラバーを削ぎ落としていきます。

24.ウェルトの角の面取り

靴の製造における手作業によるエッジ処理

さらに小さなナイフを使って、ウェルトの角を丁寧に面取りします。上質な靴は、これでもかというほど人の手がかかっているのです。

25.コバ塗り

靴の製造におけるコバ剤の塗装

ブラシを使ってコバを深みのある色に塗装します。ステッチが白い靴の場合、汚してしまったらここまでの苦労も水の泡。気の抜けない作業です。

26.保護シートを切り取る

  • 靴の製造道具
  • 靴の製造道具

熱したナイフをウェルトの隙間に当て、ここまでアッパーを保護してきたビニール製のシートを切り取ります。これも細心の注意が必要な作業。特にエルゴポックのローファーはウェルトがギザギザの形状。このようにちょっと見て「いいな」と思える仕様には、多くの手間と繊細な技術が注がれているもの。だからこそ世の中にあまりないのです。

27.靴の表情を整えた後、1日寝かせる

  • 靴の製造工程における整形作業
  • 靴の製造工程における仕上げ整形

頭の丸い専用の金槌でトントンと叩きながら、アッパーをさらに木型に馴染ませていきます。そして、木型に嵌めたままの状態で一日寝かせます。このクセづけの時間を惜しまないことが、足にピタリとフィットする靴を生む最後の秘訣。

28.仕上げ

  • 靴クリームで仕上げる
  • 靴にバフがけした光沢

一日寝かせた後、木型を抜けばいよいよ完成間近です。生ゴムを使い細かいカスなどを取り除いたら表面全体に薄くクリームを塗り、最後にバフがけをして輝きを与えます。

29.ソックを貼る

靴のブランドロゴ貼り

インソールにブランド名が箔押しされたソックを貼ったら完成です。エルゴポックのソックは、ライニングと同じ肌触りの良い馬革製。画竜点睛にふさわしい贅沢なパーツです。

30.完成

靴工場からの出荷

多くの手間と時間をかけて完成したエルゴポックのローファー。その工程数は約200。しかも、バッグ同様オール・メイド・イン・ジャパン。ここまでこだわらなければ、エルゴポックがバッグに注ぐ哲学と情熱を靴に落とし込むことはできないのです。

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